会社の慰安旅行。 今年は思い切って北海道へ。 海鮮、ジンギスカン、温泉、そしてあの広い空。

参加した社員は「最高でした!」と満面の笑み。 会社としても「みんなの疲れが少しでも取れれば」と、気持ちよく費用を負担したわけです。

ところが——。

旅行に参加できなかった社員に、 「行けなかった分、せめてこれでおいしいものでも食べてね」と 現金を配ってしまうことがあります。

気持ちはとてもよく分かりますし、会社としての優しさそのものです。

しかし、税務の世界ではこの“優しさ”が思わぬ方向へ転がります。

福利厚生費として非課税にするためには、 「全員が等しく受けられること」 という条件があります。

慰安旅行は、参加者全員が同じサービスを受けるからこそ「福利厚生」として扱われます。

ところが、不参加者に現金を配ると—— その瞬間に「等しく受けられる」という条件が崩れてしまいます。

税務署の考え方はこうです。

この“差”が生まれたことで 旅行に参加した人の費用まで、すべて「給与」として扱われてしまうのです。

つまり、

  • 北海道で食べた海鮮丼
  • ジンギスカン
  • 温泉旅館の豪華な夕食
  • 観光バスの移動費
  • 宿泊代

これら全部が「給与」。 社員の“身銭”扱いになります。

参加者からすると 「え、あのカニも給与だったの…?」 と、ちょっと切ない気持ちになるかもしれません。

税務署は「不参加者に現金を配った=福利厚生ではなく個人への経済的利益の提供」と判断します。

そして、 一部の人に給与が発生した場合、同じイベントに関する費用は全員分まとめて給与に引きずられる というロジックが働きます。

これが、慰安旅行の費用が“丸ごと給与”になる理由です。

慰安旅行は社員の心をほぐす大切なイベント。 だからこそ、不参加者への対応は慎重にしないといけないですね。

ほんの少しだけ税務の視点を思い出しておくと、北海道の思い出が“給与”に変わる悲しい展開を防ぐことができますよ。