決算説明の場で、私は社長に向けて数字を丁寧に説明し、 最後に納付書を手渡します。

「こちら、法人税・地方法人税の納付書です。期限までにご対応ください。」

社長はうなずき、納付書を受け取る。 ここまでは毎年の流れです。

しかし、まれに起きるのが—— 社長が納付書を経理に渡していない という静かな事故。

社長は、振替納税だと思いこみそのまま放置、社長の机の上で納付書が眠っているだけ。

個人事業時代の感覚が残っている社長ほど、「税金は勝手に引き落とされるもの」という思い込みが強いのです。

そして気づくのは、期限を過ぎた後。 延滞税の世界だけとはいえ、毎回ヒヤッとする瞬間です。

このケースの難しさは、 経理担当者にいくら説明しても防げない という点です。

経理は納付書を受け取っていない。 社長は「経理がやってくれるだろう」と思っている。 そして税金は引き落とされない。

まさに「伝達の断絶」です。

社長には説明だけ。 納付書は経理へダイレクトに。

これだけで事故は激減します。

社長は多忙で、机の上に書類が積み上がる。 その中に納付書が紛れれば、忘れるのは当然です。

事前に納付一覧表を経理に渡すことにします。

経理は一覧表を見て「納付書が来ていない」と気づけます。

社長の机で止まっている場合でも、経理が能動的に動けるようになります。

社長の思い込みをその場でリセットする効果があります。

社長は決算説明で多くの情報を受け取ります。 その中で「納付書を経理に渡す」という行為は、 どうしても優先順位が下がりがちです。

だからこそ、納付書は社長に渡さない仕組みを作る これが最も確実で、現場のストレスを減らす方法です。