食料品の消費税が1%になるという話が進んでいます。

スーパーで買い物をする立場から見れば、家計にやさしい制度です。物価高が続くなか、多くの方が歓迎されることでしょう。

私も消費者の一人として、その気持ちはよく分かります。

しかし一方で、農業に関わる者として少し違った見方もしています。

私は米づくりを続けています。

田植えや草刈り、稲刈りは決して楽な作業ではありません。

それでも土に触れ、季節を感じながら育った稲を収穫する喜びは何ものにも代え難いものです。

正直に言えば、大きな利益を期待して続けているわけではありません。

私にとって米づくりは、もはや仕事以上のものです。

体が続く限りは続けたい。

そんなライフワークのような存在になっています。

だからこそ、食料品の消費税引下げのニュースを聞くと、少し複雑な気持ちになります。

農業では肥料や農薬、機械の修理代、燃料代など、多くの経費がかかります。そしてそれらの多くには10%の消費税がかかっています。

消費者にとっては食料品が安くなる一方で、生産者側にはどのような影響が出るのか。

制度上の配慮や支援策が講じられるとしても、現場の農家が感じる不安は決して小さくないように思います。

特に中山間地域の農業は、利益だけでは続きません。

「先祖から受け継いだ田んぼだから守りたい」

「地域の景観を残したい」

「子どもや孫の世代にも農地を引き継ぎたい」

そんな思いで続けている方も少なくありません。

農業を続ける人がいなくなれば、食料は店頭に並びません。

消費者を支える政策と同時に、生産者を支える視点も忘れてはいけないと思うのです。

安いことは大切です。

しかし、それ以上に大切なのは作り続ける人がいることではないでしょうか。

私自身、これからも体が動く限り米づくりを続けたいと思っています。

秋の黄金色の田んぼを見るたびに、日本の農業にはまだ守るべき価値があると感じるからです。

消費税1%の議論を通して、そんなことを改めて考えています。